Routine Labo / AI × Premiere 自動編集 #1

Premiere Pro 自動編集 ― AI エージェントに「動画編集して」は通らなかった。先に渡す3つのファイル

30分の収録を、ChatGPT の AI エージェント「Dots」に編集させました。「動画編集して」の一言で頼むと、思うようには進みません。ところが、手順書・編集ルール・道具(プログラム)の3つを先に渡すと、同じ動画が文字起こしからカット、つなぎ目の手直し、テロップまで通り、Premiere でそのまま開ける形で戻ってきました。この資料には、動画で使ったプロンプトの全文と、3つのファイルの役割、30分の収録で測った数字をまとめています。

一言で頼むと通らない/先に3つのファイルを渡すと通る
図解:Routine Labo

結論:AI の仕事を「判断」だけにする

AI に動画編集を任せるコツは、プロンプトを長く工夫することではありません。作業の手順書と、何を抜いて何を残すかのルールと、毎回同じに動く道具(プログラム)を先に作って渡すことです。

そうすると、AI がやるのは「どこを切るか」「このつなぎ目は自然か」「この字は合っているか」を決めて表に書くことだけになります。実際に切る・書き出すのはプログラムです。この分け方が全部です。

AI と Premiere のつなぎ方は4つ

AI と Premiere のつなぎ方 4つ
図解:Routine Labo
  1. 連携アプリ(プラグイン)から操作する:手軽ですが、できるのは用意された操作の範囲だけです。
  2. 画面を見てクリックさせる:人の操作を真似ます。遅く、押し間違えがあり、毎回同じ結果になりません。
  3. 自分の Mac でプログラムを動かす:Dots は接続した Mac の上で作業を進められます(接続は既定でオフ)。文字起こし・カット・書き出しを毎回同じ手順で回せます。
  4. タイムラインのファイルで受け渡す:カット済みの並びをファイル(Final Cut Pro XML)にして、Premiere の「読み込み」で開きます。元の動画には触りません。

本命は3と4の組み合わせです。画面操作は最後の手段にします。

Premiere 本体だけでもできること:テキストベース編集で文字起こし(日本語対応)をして、間(無音)や「えーと」のようなつなぎ言葉を見つけて、まとめて削除できます。自動字幕も作れます。一方で、言い直しの判断・つなぎ目の検査・自分のルールの持ち込みは、公式資料に記載がありません(2026年10月時点)。今回はそこを AI とプログラムで埋めます。

Adobe 側の AI:Premiere の中にも AI アシスタントが入り始めました(2026年6月から公開ベータ)。ただし今できるのは素材の整理・文字起こし・粗い組み立てまでで、英語向けに最適化されています。Adobe の ChatGPT 連携も、アップロードした動画のクイックカットやリサイズが中心で、開いている Premiere のプロジェクトを直接編集するとは書かれていません(現状は英語のみ)。

※ 2026年1月から製品の正式名は「Adobe Premiere」です。この資料では、検索で使われることの多い「Premiere Pro」の表記も使っています。

出典:Overview of Text-Based editing(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Detect and delete pauses in transcripts(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Premiere AI Assistant (beta) overview(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Adobe for ChatGPT overview(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/What's new in Adobe Premiere on desktop(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com

実験①:一言で頼んでみる

実験① 一言で頼む
図解:Routine Labo

まずは何も渡さずに頼みます。見るポイントは3つです。何を使って編集しようとしたか(画面操作か、プログラムか)、何分かかったか、Premiere で開ける形になったか。

一言版

デスクトップの「Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4」を動画編集してください。

具体的に頼んだ版

私の Mac で Premiere Pro を開いて、デスクトップの「Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4」を編集してください。
・無音と「えー」「あのー」「まあ」などの口ぐせをカットする
・言い直した所は前の方を消す
・テロップを付ける
・新しいプロジェクトで作業して、ほかのプロジェクトは開かない・上書きしない
・元の動画は動かさない・消さない
・終わったら Premiere で開いた状態にして、何をしたか報告する

結果は動画の中でそのままお見せしています。うまくいった部分があったとしても、「毎回これが出るか」は別の問題です。

一言で頼むと崩れる3つの理由

一言で頼むと崩れる3つの理由
図解:Routine Labo
  1. 画面操作は遅くてずれる:30分の動画を手で編集するのと同じ数の操作になります。
  2. 毎回やり方が変わる:何秒の無音を抜くか、どこまで切るかをその場で決めるので、同じ動画でも結果が変わります。
  3. 判断と作業が混ざる:切る場所を決めるのと切るのを同時にやるので、どこで間違えたかを後から追えません。

ネットの声(他人の言葉として)

出典:Thariq の投稿(2026-10-06 取得)
x.com/Futurepedia「GPT-6 Astra の画面操作を10のアプリで検証」(2026-10-06 取得)
youtube.com

一言で済んでいるように見える人は、準備を先に済ませています。それなら、その準備をファイルにしておけばいい、というのが今回の考え方です。

先に渡す3つのファイル

先に渡す3つのファイル
図解:Routine Labo
ファイル中身
① 手順書作業の順番と、止まって判断する所。10の工程のうち3か所(抜く場所・つなぎ目・テロップの誤字)で AI が判断する
② 編集ルール何を抜いて何を残すか。言い直しは前を抜く/「まあ」「なんか」は文脈で決める/単語の途中で切らない/AI のカットは全体の25%まで
③ 道具(プログラム)文字起こし(単語ごとの時刻まで)・無音の検出・カット・つなぎ目の検査・テロップ(1行20字)・書き出し(カット済みの動画・Premiere 用のファイル・字幕ファイル)

AI がやるのは、判断を3つの表に書くことだけです。抜く場所の表、つなぎ目の手直しの表、テロップの誤字の表です。

キットの流れ 機械とAIの分担
図解:Routine Labo

実験②:キットを渡して、同じ動画を頼む

実験② キットを渡して頼む
図解:Routine Labo

実験①と同じ30分の動画を、今度は3つのファイル(キット)を渡して頼みます。パスはご自身の環境に合わせて書き換えてください。

私の Mac にある動画編集キット(~/Desktop/Premiere自動編集/動画編集キット)で、次の動画を編集してください。
動画:~/Desktop/Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4

・コマンドはあなたのクラウドの PC ではなく、私の Mac で実行してください(Mac 上に Codex のタスクを作り、キットのフォルダに移動してから実行)。
・最初に README.md と 編集ルール.md を全部読み、README の工程表どおりに最後まで進めてください。
・★の判断(カット・つなぎ目・テロップ・強調テロップ・B ロール)はあなたがして、作業フォルダの JSON に書いてください。
・出力に NG: が出たら、そこで止めて内容を教えてください。--force は使わないでください。
・元の動画は読むだけにして、kit.py・config.json・手順書は書き換えないでください。
・最後は README の「報告の形」で報告してください。

AI は最後に、元の長さと編集後の長さ、抜いたもの、つなぎ目、テロップ、強調テロップ、効果音、B ロール、枠、判断に迷った所を決まった形で報告します。迷った所は、人が決めて伝えます。

30分の収録で測った数字

30分の収録で測った 機械のカットだけ
図解:Routine Labo
項目結果
長さ(機械による無音のカットだけ)30分00秒 → 23分41秒(21%短く)
かかった時間(文字起こし〜書き出し)3分45秒
つなぎ目(うち要確認)134か所(36か所)
書き出しのずれ0.00秒
テロップ630枚
AI が判断する材料言い直しの候補17件・口ぐせ98件

測定:Routine Labo(手元の Mac・2026-10-06)。素材は過去の解説動画の生の収録30分。AI の判断を入れた後の結果は動画の中でお見せしています。

実験③:AI が Premiere のパネルを押して、タイムラインが切られていく

キットには、Premiere 用のパネル「動画編集キット」も入っています。「つくる」タブで① 素材を選ぶ → ② おまかせ(テレビ風/解説/Vlog/落ち着き)→ ③ この内容で仕上げるの3手で、文字起こし → 判断 → カット → テロップ → Premiere 反映まで進みます。開いている Premiere に新しいシーケンスができ、切れ目が入り、要らない区間が1つずつ詰められ、テロップ・強調テロップ・効果音・枠・ロゴが置かれます。パネルの中でも、進み具合の5行と、切れ目が入って区間が消えていく様子、いま抜いた区間が表示されます。

ボタンは番号付きで大きく、結果はいちばん上に大きな文字で出るので、画面を見て操作できる AI にも押してもらえます。Dots には次のように頼みます。

私の Mac の Premiere Pro で、メニューの「ウィンドウ → エクステンション → 動画編集キット」を開いてください。
「つくる」タブで「① 素材を選ぶ」から ~/Desktop/Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4 を選び、「② おまかせ」で「テレビ風」を選び、「③ この内容で仕上げる」を押してください。
終わるまで待ち、パネルのいちばん上の表示(「完了 ✓ …」か「止まりました:…」)と、その下の行を読んで報告してください。ほかのプロジェクトやシーケンスには触らないでください。

どこまで自動でできる?

Premiere本体・市販ツール・今回のキットの比較
図解:Routine Labo(各社の公式の機能紹介で確認できた範囲・2026年10月)

無音と口ぐせのカットは、Premiere 本体でも市販のツールでもできます。差が出るのは言い直しの判断・つなぎ目の検査・自分のルールです。自分のルールは、編集ルールのファイルに1行足すだけで次から効きます。

向く動画・向かない動画

向く動画・向かない動画
図解:Routine Labo

まとめ

まとめ AIに動画編集を任せるコツ
図解:Routine Labo
  1. 一言では頼まない。「動画編集して」だけだと、画面操作に頼って遅く、毎回結果が変わります。
  2. 先に3つのファイルを渡す。手順書・編集ルール・道具。AI の仕事は判断だけにして、作業はプログラムに任せます。
  3. 数字で確かめて、最後は人が見る。つなぎ目の数や書き出しのずれまで確かめて、構成とテロップの位置は人が決めます。

動画編集キットについて

動画で使ったキット一式(手順書・編集ルール・プログラム・Premiere 用のパネル・導入手順)は、YouTube メンバーシップのスタンダードAIプラン以上で配布しています。Dots のほか、Codex や Claude Code に渡しても同じ手順で動きます(Mac・Apple Silicon で動作を確認)。