30分の収録を、ChatGPT の AI エージェント「Dots」に編集させました。「動画編集して」の一言で頼むと、思うようには進みません。ところが、手順書・編集ルール・道具(プログラム)の3つを先に渡すと、同じ動画が文字起こしからカット、つなぎ目の手直し、テロップまで通り、Premiere でそのまま開ける形で戻ってきました。この資料には、動画で使ったプロンプトの全文と、3つのファイルの役割、30分の収録で測った数字をまとめています。
AI に動画編集を任せるコツは、プロンプトを長く工夫することではありません。作業の手順書と、何を抜いて何を残すかのルールと、毎回同じに動く道具(プログラム)を先に作って渡すことです。
そうすると、AI がやるのは「どこを切るか」「このつなぎ目は自然か」「この字は合っているか」を決めて表に書くことだけになります。実際に切る・書き出すのはプログラムです。この分け方が全部です。
本命は3と4の組み合わせです。画面操作は最後の手段にします。
Premiere 本体だけでもできること:テキストベース編集で文字起こし(日本語対応)をして、間(無音)や「えーと」のようなつなぎ言葉を見つけて、まとめて削除できます。自動字幕も作れます。一方で、言い直しの判断・つなぎ目の検査・自分のルールの持ち込みは、公式資料に記載がありません(2026年10月時点)。今回はそこを AI とプログラムで埋めます。
Adobe 側の AI:Premiere の中にも AI アシスタントが入り始めました(2026年6月から公開ベータ)。ただし今できるのは素材の整理・文字起こし・粗い組み立てまでで、英語向けに最適化されています。Adobe の ChatGPT 連携も、アップロードした動画のクイックカットやリサイズが中心で、開いている Premiere のプロジェクトを直接編集するとは書かれていません(現状は英語のみ)。
※ 2026年1月から製品の正式名は「Adobe Premiere」です。この資料では、検索で使われることの多い「Premiere Pro」の表記も使っています。
出典:Overview of Text-Based editing(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Detect and delete pauses in transcripts(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Premiere AI Assistant (beta) overview(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/Adobe for ChatGPT overview(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com/What's new in Adobe Premiere on desktop(2026-10-06 取得)
helpx.adobe.com
まずは何も渡さずに頼みます。見るポイントは3つです。何を使って編集しようとしたか(画面操作か、プログラムか)、何分かかったか、Premiere で開ける形になったか。
デスクトップの「Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4」を動画編集してください。
私の Mac で Premiere Pro を開いて、デスクトップの「Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4」を編集してください。 ・無音と「えー」「あのー」「まあ」などの口ぐせをカットする ・言い直した所は前の方を消す ・テロップを付ける ・新しいプロジェクトで作業して、ほかのプロジェクトは開かない・上書きしない ・元の動画は動かさない・消さない ・終わったら Premiere で開いた状態にして、何をしたか報告する
結果は動画の中でそのままお見せしています。うまくいった部分があったとしても、「毎回これが出るか」は別の問題です。
ネットの声(他人の言葉として)
出典:Thariq の投稿(2026-10-06 取得)
x.com/Futurepedia「GPT-6 Astra の画面操作を10のアプリで検証」(2026-10-06 取得)
youtube.com
一言で済んでいるように見える人は、準備を先に済ませています。それなら、その準備をファイルにしておけばいい、というのが今回の考え方です。
| ファイル | 中身 |
|---|---|
| ① 手順書 | 作業の順番と、止まって判断する所。10の工程のうち3か所(抜く場所・つなぎ目・テロップの誤字)で AI が判断する |
| ② 編集ルール | 何を抜いて何を残すか。言い直しは前を抜く/「まあ」「なんか」は文脈で決める/単語の途中で切らない/AI のカットは全体の25%まで |
| ③ 道具(プログラム) | 文字起こし(単語ごとの時刻まで)・無音の検出・カット・つなぎ目の検査・テロップ(1行20字)・書き出し(カット済みの動画・Premiere 用のファイル・字幕ファイル) |
AI がやるのは、判断を3つの表に書くことだけです。抜く場所の表、つなぎ目の手直しの表、テロップの誤字の表です。
実験①と同じ30分の動画を、今度は3つのファイル(キット)を渡して頼みます。パスはご自身の環境に合わせて書き換えてください。
私の Mac にある動画編集キット(~/Desktop/Premiere自動編集/動画編集キット)で、次の動画を編集してください。 動画:~/Desktop/Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4 ・コマンドはあなたのクラウドの PC ではなく、私の Mac で実行してください(Mac 上に Codex のタスクを作り、キットのフォルダに移動してから実行)。 ・最初に README.md と 編集ルール.md を全部読み、README の工程表どおりに最後まで進めてください。 ・★の判断(カット・つなぎ目・テロップ・強調テロップ・B ロール)はあなたがして、作業フォルダの JSON に書いてください。 ・出力に NG: が出たら、そこで止めて内容を教えてください。--force は使わないでください。 ・元の動画は読むだけにして、kit.py・config.json・手順書は書き換えないでください。 ・最後は README の「報告の形」で報告してください。
AI は最後に、元の長さと編集後の長さ、抜いたもの、つなぎ目、テロップ、強調テロップ、効果音、B ロール、枠、判断に迷った所を決まった形で報告します。迷った所は、人が決めて伝えます。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 長さ(機械による無音のカットだけ) | 30分00秒 → 23分41秒(21%短く) |
| かかった時間(文字起こし〜書き出し) | 3分45秒 |
| つなぎ目(うち要確認) | 134か所(36か所) |
| 書き出しのずれ | 0.00秒 |
| テロップ | 630枚 |
| AI が判断する材料 | 言い直しの候補17件・口ぐせ98件 |
測定:Routine Labo(手元の Mac・2026-10-06)。素材は過去の解説動画の生の収録30分。AI の判断を入れた後の結果は動画の中でお見せしています。
キットには、Premiere 用のパネル「動画編集キット」も入っています。「つくる」タブで① 素材を選ぶ → ② おまかせ(テレビ風/解説/Vlog/落ち着き)→ ③ この内容で仕上げるの3手で、文字起こし → 判断 → カット → テロップ → Premiere 反映まで進みます。開いている Premiere に新しいシーケンスができ、切れ目が入り、要らない区間が1つずつ詰められ、テロップ・強調テロップ・効果音・枠・ロゴが置かれます。パネルの中でも、進み具合の5行と、切れ目が入って区間が消えていく様子、いま抜いた区間が表示されます。
ボタンは番号付きで大きく、結果はいちばん上に大きな文字で出るので、画面を見て操作できる AI にも押してもらえます。Dots には次のように頼みます。
私の Mac の Premiere Pro で、メニューの「ウィンドウ → エクステンション → 動画編集キット」を開いてください。 「つくる」タブで「① 素材を選ぶ」から ~/Desktop/Premiere自動編集/素材/GPT56回_生収録30分.mp4 を選び、「② おまかせ」で「テレビ風」を選び、「③ この内容で仕上げる」を押してください。 終わるまで待ち、パネルのいちばん上の表示(「完了 ✓ …」か「止まりました:…」)と、その下の行を読んで報告してください。ほかのプロジェクトやシーケンスには触らないでください。
無音と口ぐせのカットは、Premiere 本体でも市販のツールでもできます。差が出るのは言い直しの判断・つなぎ目の検査・自分のルールです。自分のルールは、編集ルールのファイルに1行足すだけで次から効きます。
動画で使ったキット一式(手順書・編集ルール・プログラム・Premiere 用のパネル・導入手順)は、YouTube メンバーシップのスタンダードAIプラン以上で配布しています。Dots のほか、Codex や Claude Code に渡しても同じ手順で動きます(Mac・Apple Silicon で動作を確認)。