Routine Labo — 解説資料

言い間違いが勝手に消える音声入力「Typeless」
全機能・料金・安全性のまとめ

喋った内容を“整えてから”入力するAI音声入力 Typeless を、全機能まとめて解説します。言い直しもフィラーも自動で消えます。無料枠・料金・スマホアプリ・他ツールとの比較に加えて、一時期ネットで“危険”と言われた件も、公式ページの実際の表示で確かめました。

Typeless 完全ガイド
この資料の数字について 料金・機能・コンプライアンスの表示は、すべて 2026年9月16日 に公式サイトを実際に開いて確認したものです。これらは変わることがあるので、契約前には必ず公式で最新を確認してください。出典は最後にまとめています。

1. Typeless とは何か

普通の音声入力は「声を文字にする」ところで止まります。Typeless はそこから一段進んで、文章として成立する形に直してから入力します。公式サイトのコピーは「話す、タイプしない」。

整えてから入力する仕組み
図解:Routine Labo

公式が掲げる速度

公式サイトは「タイピングの4倍速」と書いています。内訳は QWERTY キーボード 45wpm に対し、Typeless の音声入力が 220wpm。これで週に1日分の時間が浮く、という主張です。

ただしこれは英語環境での数値です。日本語での速度は話し方と内容によって変わるので、参考値として見てください。

45wpm と 220wpm の対比
図解:Routine Labo(数値は Typeless 公式サイトの表記)

2. 始め方と初期設定

  1. 自分の環境(macOS / Windows / iOS / Android)を選んでダウンロードする
  2. マイク(声を拾う)とアクセシビリティ(文字を入れる)を許可する
  3. Fnキーを押している間だけマイクが働く。離すと整形済みの文章がカーソル位置に入る

Mac で求められる権限はこの2つだけです。カメラと画面収録の許可は求められません。

使いはじめる3ステップ
図解:Routine Labo

3. 言い間違い・言い直しが勝手に消える

公式はこれを「自動編集」と呼んでいます。表現は 文中で自分を修正したときに認識し、最終的な意図したメッセージだけを保持する。これがこのツールの本体であり、他の音声入力と決定的に違うところです。

言い直しても最後だけ残る
図解:Routine Labo
試してみる
わざと崩して喋ってみる文章

次の文を、書いてあるとおりに言い淀みながら喋ってみてください。言い直しもフィラーもそのまま口に出すのがポイントです。

えーと、今日はですね、あの、音声入力のツールを紹介しようと思っていて、
えーと、これ昨日ちょっと触ったんですけど、あ、昨日じゃないな、一昨日ですね、一昨日触って、
で、その、何がいいかっていうと、えーと、まず1つ目が、文章を勝手に整えてくれるところで、
で、2つ目が、その、言い間違えても、あ、言い直しても、ちゃんと最後に言ったほうを残してくれる、
で、3つ目が、スマホでも、その、スマホでも同じように使えるっていう、
まあそういう、えーと、そういうツールになってます。

見るところ:

  1. 「えーと」「あの」が1つも残っていない
  2. 「昨日→一昨日」の言い直しが、一昨日だけになっている
  3. 「1つ目・2つ目・3つ目」が箇条書きに整形されている

AIが処理しているので、出てくる文章は毎回まったく同じにはなりません。上の3点が効いているかを見てください。

4. 話し言葉のノイズが3つ同時に消える

フィラー削除・繰り返し削除・自動フォーマット
図解:Routine Labo

5. 使うほど自分の文体に寄る

対応言語は100以上。話した言語は自動で判別され、混ぜて話しても通ります。

個人辞書・アプリごとのトーン・パーソナライズ
図解:Routine Labo

6. 選んだ文章に話しかけて書き換える

入力するだけの道具ではありません。すでにある文章に話しかけて操作できます。

話して編集・質問・翻訳
図解:Routine Labo
やってみる
日本語で喋って、英語で入力する

翻訳モードは本体とは別のショートカットで動きます。先に出力する言語を決めておきます。

  1. 設定アイコン → 言語 → 「翻訳モードの対象言語を設定」で出力したい言語を選ぶ
  2. 入力したい場所にカーソルを置き、翻訳ショートカット(既定 fn + ⇧)を押して話す
  3. 話し終えたらメインのショートカット(既定 fn)を押すと、翻訳された文章が入ります

下の日本語を、英語に訳すつもりではなく普段どおりに喋ってみてください。

先日お送りした見積もりの件なんですけど、えーと、金額のところを一部修正したいので、
一度お電話でお話しできればと思っています。
来週の火曜日か水曜日の午後でしたら空いているので、ご都合を教えていただけますか。

見るところ:日本語を一度も画面に出さずに英文が入ること/直訳でなくメールの文体になっていること/「えーと」が英文に出ていないこと。

ショートカットは 設定 > キーボードショートカット >「翻訳モード」で変更できます(Windows の既定は 右Alt + 右Shift)。対象言語は複数登録もできます。

7. スマホでは「キーボード」として動く

「フルアクセス」は Typeless 固有のものではなく、あとから追加するキーボード全部に共通する iOS の設定です。

スマホではキーボードとして動く
図解:Routine Labo

8. 料金と無料枠

FreePro
使える量週 8,000語無制限
精度標準強化版
混雑時標準アクセス優先アクセス
端末間の同期—クラウド同期
料金0円月 $12(年額請求)/月払いは $30

Free でも 翻訳・質問・個人辞書・100以上の言語・アプリごとのトーン・ささやき入力 は使えます。企業向けは個別見積もりで、SSO・監査ログ・BAA などが付きます。

日本語で「8,000語」がどう数えられるかは公式に記載がありません。まずは無料で、自分の使い方でどれくらい持つか測ってみるのが確実です。

Free と Pro の比較
図解:Routine Labo(数値は Typeless 公式料金ページ・2026-09-16 取得)

9. 他の音声入力と何が違うのか

比べる軸は4つです。出力までの速さ/誤変換/言い直しの処理/処理する場所。
このうちいちばん大きな違いは「処理する場所」です。

Typeless・Aqua Voice・SuperWhisper の比較
図解:Routine Labo
自分で比べるための文
同じ文を各ツールに吹き込んでみる

固有名詞と言い直しの両方が入っている文です。使っているツールで試すと、差がはっきり出ます。

えーと、Claude CodeとGitHubを連携させて、あ、GitHubじゃなくてGitLabですね、
GitLabと連携させて、プルリクエストのレビューを自動化する記事を、えーと、明日までに書きます。

見るところ:「GitHub→GitLab」の言い直しを処理できたか/「Claude Code」「プルリクエスト」の固有名詞が正しいか/喋り終わってから文字が出きるまでの秒数

10. “危険”と言われた件

2026年2月、Typeless は日本のSNSで「カメラを見ている」「キーロガーが入っている」と言われ、大きく広まりました。その後の技術検証では、指摘の大半は誤りか誇張だったと結論づけられています。

言われたことと確認できること
検証の出典:Zenn「Typelessのセキュリティ炎上って、結局なんだったの?」(2026-03-08)
zenn.dev/図解:Routine Labo

そして同じ権限は Aqua Voice も Wispr Flow も要求します。Typeless だけが特別ではありません。

でも、本当に見るべきなのはここ

公式の料金ページと公式の Trust Center で、書いてあることが違います。どちらも公式ページです。

料金ページと Trust Center の表記の違い
図解:Routine Labo(Typeless 公式 料金ページ/Trust Center を 2026-09-16 に取得して作成)
ページ実際の表記
料金ページ
typeless.com/ja/pricing
「GDPR準拠」「ISO 27001準拠」「HIPAA対応」にチェック
Trust Center
trust.typeless.com
GDPR = Self-Attested(自己申告)
HIPAA = Self-Attested(自己申告)
SOC 2 Type I / Type II = In Progress(手続き中)
ISO 27001 = Compliant

「準拠」と「自己申告で準拠と表明している」は別のことです。さらに Trust Center の紹介文は「SOC 2 Type II の報告書がここにある」と書いていますが、すぐ下のバッジは In Progress です。ISO 27001 の文書も請求制で、一般には公開されていません。

声はどこへ渡るのか

公式が公開している委託先の一覧を見ると、話した声と使用中アプリのテキストが渡り得る AI処理の委託先は5社。委託先は全部で12社、すべてアメリカです。

声が渡る先
出典:Typeless 公式 Subprocessors 一覧(2026-09-16 取得)
trust.typeless.com/図解:Routine Labo

この章の結論

「危険」でも「安全」でもありません。事実はこうです。

外部の審査を通り切ったと確認できる項目は、現時点では1つもない。だから、クラウドに出せない話はしない。

それが線引きです。顧客名が出る打ち合わせメモのようなものには、私も音声入力を使っていません。

まとめ — 誰に向くか、誰が止まるか

向いている慎重に考えたい
長い文章を書く人(記事・メール・議事録)
考えながら話す人。言い直しが多くても整う
パソコンでもスマホでも入力したい人
顧客情報や未公開の内容を扱う仕事
インターネットに繋がらない環境
とにかく速さだけが欲しい場合(整える分だけ待つ)
向く人と慎重に考えたい人
図解:Routine Labo