Routine Labo — 解説資料
喋った内容を“整えてから”入力するAI音声入力 Typeless を、全機能まとめて解説します。言い直しもフィラーも自動で消えます。無料枠・料金・スマホアプリ・他ツールとの比較に加えて、一時期ネットで“危険”と言われた件も、公式ページの実際の表示で確かめました。
普通の音声入力は「声を文字にする」ところで止まります。Typeless はそこから一段進んで、文章として成立する形に直してから入力します。公式サイトのコピーは「話す、タイプしない」。
公式サイトは「タイピングの4倍速」と書いています。内訳は QWERTY キーボード 45wpm に対し、Typeless の音声入力が 220wpm。これで週に1日分の時間が浮く、という主張です。
ただしこれは英語環境での数値です。日本語での速度は話し方と内容によって変わるので、参考値として見てください。
Mac で求められる権限はこの2つだけです。カメラと画面収録の許可は求められません。
公式はこれを「自動編集」と呼んでいます。表現は 文中で自分を修正したときに認識し、最終的な意図したメッセージだけを保持する。これがこのツールの本体であり、他の音声入力と決定的に違うところです。
次の文を、書いてあるとおりに言い淀みながら喋ってみてください。言い直しもフィラーもそのまま口に出すのがポイントです。
えーと、今日はですね、あの、音声入力のツールを紹介しようと思っていて、 えーと、これ昨日ちょっと触ったんですけど、あ、昨日じゃないな、一昨日ですね、一昨日触って、 で、その、何がいいかっていうと、えーと、まず1つ目が、文章を勝手に整えてくれるところで、 で、2つ目が、その、言い間違えても、あ、言い直しても、ちゃんと最後に言ったほうを残してくれる、 で、3つ目が、スマホでも、その、スマホでも同じように使えるっていう、 まあそういう、えーと、そういうツールになってます。
見るところ:
AIが処理しているので、出てくる文章は毎回まったく同じにはなりません。上の3点が効いているかを見てください。
対応言語は100以上。話した言語は自動で判別され、混ぜて話しても通ります。
入力するだけの道具ではありません。すでにある文章に話しかけて操作できます。
翻訳モードは本体とは別のショートカットで動きます。先に出力する言語を決めておきます。
fn + ⇧)を押して話すfn)を押すと、翻訳された文章が入ります下の日本語を、英語に訳すつもりではなく普段どおりに喋ってみてください。
先日お送りした見積もりの件なんですけど、えーと、金額のところを一部修正したいので、 一度お電話でお話しできればと思っています。 来週の火曜日か水曜日の午後でしたら空いているので、ご都合を教えていただけますか。
見るところ:日本語を一度も画面に出さずに英文が入ること/直訳でなくメールの文体になっていること/「えーと」が英文に出ていないこと。
ショートカットは 設定 > キーボードショートカット >「翻訳モード」で変更できます(Windows の既定は 右Alt + 右Shift)。対象言語は複数登録もできます。
「フルアクセス」は Typeless 固有のものではなく、あとから追加するキーボード全部に共通する iOS の設定です。
| Free | Pro | |
|---|---|---|
| 使える量 | 週 8,000語 | 無制限 |
| 精度 | 標準 | 強化版 |
| 混雑時 | 標準アクセス | 優先アクセス |
| 端末間の同期 | — | クラウド同期 |
| 料金 | 0円 | 月 $12(年額請求)/月払いは $30 |
Free でも 翻訳・質問・個人辞書・100以上の言語・アプリごとのトーン・ささやき入力 は使えます。企業向けは個別見積もりで、SSO・監査ログ・BAA などが付きます。
日本語で「8,000語」がどう数えられるかは公式に記載がありません。まずは無料で、自分の使い方でどれくらい持つか測ってみるのが確実です。
比べる軸は4つです。出力までの速さ/誤変換/言い直しの処理/処理する場所。
このうちいちばん大きな違いは「処理する場所」です。
固有名詞と言い直しの両方が入っている文です。使っているツールで試すと、差がはっきり出ます。
えーと、Claude CodeとGitHubを連携させて、あ、GitHubじゃなくてGitLabですね、 GitLabと連携させて、プルリクエストのレビューを自動化する記事を、えーと、明日までに書きます。
見るところ:「GitHub→GitLab」の言い直しを処理できたか/「Claude Code」「プルリクエスト」の固有名詞が正しいか/喋り終わってから文字が出きるまでの秒数
2026年2月、Typeless は日本のSNSで「カメラを見ている」「キーロガーが入っている」と言われ、大きく広まりました。その後の技術検証では、指摘の大半は誤りか誇張だったと結論づけられています。
そして同じ権限は Aqua Voice も Wispr Flow も要求します。Typeless だけが特別ではありません。
公式の料金ページと公式の Trust Center で、書いてあることが違います。どちらも公式ページです。
| ページ | 実際の表記 |
|---|---|
| 料金ページ typeless.com/ja/pricing | 「GDPR準拠」「ISO 27001準拠」「HIPAA対応」にチェック |
| Trust Center trust.typeless.com | GDPR = Self-Attested(自己申告) HIPAA = Self-Attested(自己申告) SOC 2 Type I / Type II = In Progress(手続き中) ISO 27001 = Compliant |
「準拠」と「自己申告で準拠と表明している」は別のことです。さらに Trust Center の紹介文は「SOC 2 Type II の報告書がここにある」と書いていますが、すぐ下のバッジは In Progress です。ISO 27001 の文書も請求制で、一般には公開されていません。
公式が公開している委託先の一覧を見ると、話した声と使用中アプリのテキストが渡り得る AI処理の委託先は5社。委託先は全部で12社、すべてアメリカです。
「危険」でも「安全」でもありません。事実はこうです。
外部の審査を通り切ったと確認できる項目は、現時点では1つもない。だから、クラウドに出せない話はしない。
それが線引きです。顧客名が出る打ち合わせメモのようなものには、私も音声入力を使っていません。
| 向いている | 慎重に考えたい |
|---|---|
| 長い文章を書く人(記事・メール・議事録) 考えながら話す人。言い直しが多くても整う パソコンでもスマホでも入力したい人 |
顧客情報や未公開の内容を扱う仕事 インターネットに繋がらない環境 とにかく速さだけが欲しい場合(整える分だけ待つ) |