Routine Labo

Qwen3.8-Flash と GLM-5.3-Flash
どっちを選ぶか

2026年8月26日、名前も値段もほとんど同じ「Flash」が2つ同時に出た。 中身は正反対で、選び方は使い道で決まる。実機の左右比較と、公式手順の落とし穴まで。

Qwen3.8-Flash と GLM-5.3-Flash の対比
同じ日に、同じような名前で、同じ値段の高速モデルが2つ出ました。 中身は正反対で、選び方は使い道で決まります。

1. 同じ日に、同じ値段で、2つ出た

8月26日に、Qwen3.8-Flash(アリババ)と GLM-5.3-Flash(Z.ai)が同時に世に出た。 どちらも名前に Flash が付き、料金までほぼ重なっている。

項目Qwen3.8-FlashGLM-5.3-Flash
入力 100万トークン$0.15$0.15
出力 100万トークン$0.47$0.50
コンテキスト1M1M
キャッシュ入力$0.016$0.03
ただし今この瞬間は GLM が半額。9月9日 24:00(UTC+8)まで50%オフで、$0.075 / $0.25 になる。 期限つきなので、使う時点で生きているか確認してください。

2. 中身は正反対

Qwen と GLM の構成比較
図解:Routine Labo
項目Qwen3.8-Flash-NextGLM-5.3-Flash
総パラメータ125B320B
1トークンで動く分6B18B
N-gram 埋め込み51B
BF16 の実サイズ360.0 GB328.4 GB
ライセンスqwen-community-1.0MIT

総パラメータは Qwen が GLM の約2.6分の1なのに、ディスク上のサイズは逆転している。 理由は N-gram 埋め込みの 51B が上乗せされているため。そしてこの層は GPU の VRAM ではなく通常のシステムRAM側で扱われる設計になっている。

Qwen3.8-Flash-Next のアーキテクチャ図
出典:Qwen3.8-Flash-Next モデルカード アーキテクチャ図(2026-08-28 取得)
huggingface.co

だから VRAM が少なくても動く

盛らないこと:Q4量子化でも 111.3 GB ある。誰のPCでも動くわけではなく、128GB級のマシンが要る。

3. Claude Code に刺す方法と、公式手順の落とし穴

公式手順の落とし穴と安全な差し替え方
図解:Routine Labo

Qwen 公式は Anthropic 互換のエンドポイントを出しているので、Claude Code にそのまま刺せる。 ただし公式の案内は ~/.claude/settings.json の既定モデル指定そのものを書き換える方式で、 これをやるとモデル表示と実体が食い違う。

⛔ 公式手順(この形は推奨しません)
{
  "env": {
    "ANTHROPIC_BASE_URL": "https://dashscope-intl.aliyuncs.com/apps/anthropic",
    "ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "YOUR_API_KEY",
    "ANTHROPIC_MODEL": "qwen3.8-flash",
    "ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "qwen3.8-flash",
    "ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "qwen3.8-flash",
    "CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL": "qwen3.8-flash"
  }
}
✅ 推奨:そのセッションだけ差し替える(設定ファイルを汚さない)
ANTHROPIC_BASE_URL="https://dashscope-intl.aliyuncs.com/apps/anthropic" \
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN="$QWEN_API_KEY" \
ANTHROPIC_MODEL="qwen3.8-flash" \
claude

プランごとに接続先が違う点も事故のもとになる。Token Plan・Coding Plan・従量課金でそれぞれ BASE_URL が異なる。

4. 実測:同じお題を両方に投げる

今回いちばん強いのは、Qoder のサブスク枠に Qwen3.8-Flash と GLM-5.3-Flash が両方入っていること。 つまり追加課金ゼロで左右比較ができる

同じお題を両モデルへ投げるコマンド
cd ~/project/develop/20260719\ AIモデル検証
python3 tools/run.py --label Qwen38Flash-vs-GLM53Flash \
  --prompts kadai1,kadai3 \
  --lanes qoder-qwen3-8-flash,qoder-glm-5-3-flash --runs 1
お題は、2Dアクションと3Dアクションを1枚のHTMLで作らせるもの。同じ条件で両モデルに投げて、出てきたものを見比べます。

5. 公式ベンチはどう読むか

Qwen 公式の比較相手は Claude-Opus-4.6 Max、GLM 公式の比較相手は Opus 4.8。 比較の土俵が違うので、公表値をそのまま並べて優劣を決めることはできない。ここを混ぜている記事が多い。

ベンチマークQwen3.8-Flash-NextClaude-Opus-4.6 Max
SWE-bench Pro62.553.4
SWE-bench Multilingual81.077.5
CoWorkBench73.968.2
JobBench55.736.6
IFBench(指示追従)81.362.5
LiveCodeBench v691.988.8
GPQA Diamond91.791.3
HLE35.940.0
NL2Repo-Bench48.147.6
出典:Qwen3.8-Flash-Next モデルカード ベンチマーク表(2026-08-28 取得)
huggingface.co

DeepSWE 1.1 では GLM 63.4 > Qwen 58.7 と逆転する。 第三者の集計でも、優位なベンチマークの数は GLM が4つ、Qwen が2つに割れている。

6. ライセンスの違い

海外の大手メディアが Qwen3.8-Flash-Next を Apache 2.0 と報じているが、これは誤り。 モデルカードの先頭を見れば license_name: qwen-community-1.0 と書かれている。 GLM の MIT とは条件が違うので、仕事で使うなら性能より先に見るべき項目。

一次情報を自分で確かめる3コマンド
# ① 公式モデルカードの先頭=ライセンスの実物
curl -sL "https://huggingface.co/Qwen/Qwen3.8-Flash-Next/raw/main/README.md" | head -8

# ② API版 Qwen3.8-Flash の重みは公開されていない(401が返る)
curl -s -o /dev/null -w "%{http_code}\n" "https://huggingface.co/api/models/Qwen/Qwen3.8-Flash"

# ③ 実サイズを数える(総パラメータは1/2.6なのにディスクでは逆転する)
curl -s "https://huggingface.co/api/models/Qwen/Qwen3.8-Flash-Next?blobs=true" \
 | python3 -c "import json,sys; d=json.load(sys.stdin); print(round(sum(s.get('size') or 0 for s in d['siblings'])/1e9,1), 'GB')"
Flash と Flash-Next は別物。重みが公開されたのは Flash-Next(262K既定)で、 Flash は API 版(1M既定・公式ツール込み)。Qwen/Qwen3.8-Flash は HF に存在しない。

7. 結論:使い道で決める

用途による選び分け
図解:Routine Labo
こういう時選ぶモデル
速さと量をこなしたい/VRAMが少ないQwen3.8-Flash
難しい一発を任せたい/商用でライセンスを素直にしたいGLM-5.3-Flash

どちらも Qoder のサブスク枠にあるので、まず追加課金ゼロで自分のお題を投げて決めるのが最短