2026年8月 解説

Claude Code 並列運用の決定版
セッション同士が伝言できるようになった

セッションが伝言する — Claude Code 並列運用

2026年8月7日、Claude Code に 起動中のセッション同士でメッセージを送り合う機能が入りました。バージョン 2.1.224 以降なら設定は要らず、上げただけで動いています。渡るのはテキスト1本だけ。それでも、ターミナルを行き来してコピペする作業が消えます。この回は新機能を入口に、複数の Claude Code をどう回すかという並列運用の全体像まで一気に整理します。

CHAPTER 1

8月7日に何が来たのか

Claude Code の v2.1.224 以降で、あなたが立ち上げた複数のセッションが、互いにテキストを送り合えるようになりました。ポイントは有効にする操作が要らないことです。バージョンが上がっていれば、すでに裏で動いています。

裏側で使われるツールは2つあります。届く相手を探す ListAgents と、名前を指定して届ける SendMessage です。ただしこの2つを人が直接呼ぶ場面はありません。相手を選んで文面を書くのは Claude 自身で、こちらは日本語で頼むだけです。

頼み方はこの程度で通ります。

別のターミナルで動いてるセッションに、いまの変更を伝えておいて

対応環境は macOS と Linux(WSL 2 の中の Linux を含む)。ネイティブの Windows では使えません。Bedrock、AWS の Claude Platform、Google Cloud の Agent Platform、Microsoft Foundry でも提供されていません。

CHAPTER 2

渡るのはテキスト1本だけ

伝言で渡るものと渡らないもの

ここを誤解すると期待外れになります。伝言で渡るのは一片のテキストだけです。会話の履歴も、ファイルも、権限も渡りません。文脈ごと別のターミナルへ移したいなら、伝言ではなくセッションの resume を使うのが正解です。

届くタイミングにも癖があります。受け取る側が作業中なら、ツール実行の切れ目で読まれます。動いている処理が中断されることはありません。相手が待機中なら、すぐに新しいターンが立ち上がります。

CHAPTER 3

実機で伝言を飛ばす

汎用のサンプルで、まず仕組みを掴みます。手順は4つです。

  1. claude --version で 2.1.224 以降を確認する
  2. 2つのターミナルでセッションを起動し、/rename で名前を付ける(付けなければ作業フォルダ名から自動で命名される)
  3. /list-agents(別名 /peers)で、届く相手が並ぶのを確認する
  4. 送る側で日本語で頼む

受け取る側では、送り主の名前つきで届き、読み終わると1行に畳まれます。開き直したいときは Ctrl+O です。自分の受信アドレスは /status の Peer address の行で確認できます。

実機の細かい挙動

初回は、名前だけでは足りずrefを付けて送り直すよう確認が挟まることがあります。二段階になるのは仕様の範囲なので、慌てず一度目の指示をそのまま繰り返せば通ります。

CHAPTER 4

一覧が0件になる罠

一覧が0件のときに見る順番

企画時にこのMacで起きたことを、そのまま見せます。バージョンは条件を満たしている。設定で止めてもいない。セッションは9本開いている。それでも /list-agents の結果が0件でした。

プロセスの起動時刻を調べると、大半が8月5日から7日に起動したもの、つまり機能が届く前から開きっぱなしのセッションでした。古いセッションは受信の口を開けていないので、伝言相手として一覧に出てきません。直し方はひとつで、立ち上げ直すだけです。

0件のときは、上の図の順で潰していけば原因に当たります。3番目が今回の実害です。

CHAPTER 5

伝言にできないこと

伝言にできない2つのこと

届いたメッセージはあなたの発言としては扱われません。だから次の4つができません。ここは制限ではなく、安全のための設計です。

  1. 権限の確認ダイアログに答えられない。他のセッションの依頼が、あなたの同意の代わりになることはない
  2. 設定を変えられないCLAUDE.md も権限設定も、他セッションに頼まれて書き換えることはしない
  3. スラッシュコマンドが実行されない。本文に /compact と書いても、ただの文字として届く
  4. 必要な権限がなければ、いつも通り確認が出る

受信の扱いは、送る側と受け取る側の権限モードの組み合わせでも変わります。ざっくり言えば、確認を飛ばすモードのセッションから、確認するモードのセッションへ送ると保留になります。保留はダイアログが出て、既定では5分で自動的に消えます。

公式ドキュメントの受信時の扱い
出典:Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月10日 取得)
CHAPTER 6

同じマシンの中は、外に出ない

どこで動いている相手かで、通り道とできることが変わります。

相手がいる場所通り道できること
同じマシンセッションごとのソケット経由。Anthropicのサーバーを通らない送るのも返すのもできる
別のマシンAnthropicのサーバー経由(相手側の Remote Control 接続で届く)返信だけ
Web上のセッションAnthropicのサーバー経由返信だけ

会話を始められるのは同じマシンの中だけです。マシンをまたぐ場合は、届いたメッセージへの返信しかできません。またコンテナの中と外は互いに届きません。登録ファイルが見えないためです。同じコンテナの中同士なら届きます。

公式ドキュメントの通り道の表
出典:Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月10日 取得)
CHAPTER 7

実務で並列を回す

収録から3つのジョブが並行する図

普段の制作は、1本の収録からブログ・本編カット・ショート・サムネが同時に走ります。ターミナルは常時3本から4本。ここが伝言の本番です。

正直な限界も先に言います。即時のやり取りには向きません。相手が処理中なら、その処理が終わるまで反応は返りません。だから使いどころはリアルタイムの協調ではなく、区切りでの引き継ぎです。

CHAPTER 8

並列手段6つの使い分け

伝言とレジュームの使い分け

判定軸はひとつです。渡したいものが何かで決まります。

手段渡るもの向いている場面向かない場面
セッション間の伝言テキスト1本だけ独立したセッション同士の、区切りでの引き継ぎ文脈ごと渡したい/即時に往復したい
セッションの resume会話の文脈ごと別のターミナルで同じ話の続きをしたい2つを同時に走らせたい
サブエージェント親が渡した指示1つのセッションの中で調べ物を分担するセッションをまたぎたい
エージェントチームチーム内の構造化メッセージClaudeが自分で立てて統率する集団作業自分で1本ずつ操舵したい
agent view渡さない(見るだけ)たくさんのセッションを1画面で見張る中身を伝えたい
git worktree渡さない(作業を分ける)同じリポジトリを衝突させずに並行で触る情報を伝えたい

worktree と伝言は競合しません。組み合わせるのが正解です。作業そのものを分けるのが worktree、分けた先に情報を渡すのが伝言です。同じことをする外部ツールは以前からありましたが、純正で来た意味は設定なしで全員の手元で動くことにあります。

CHAPTER 9

静かに壊れる3つと、設定・止め方

落とし穴

  1. 無言でオフになる環境変数が4つあるCLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFICDISABLE_TELEMETRYDO_NOT_TRACKDISABLE_GROWTHBOOK。プライバシー目的で入れている人ほど踏みます。警告もエラーも出ずに機能ごと消えます
  2. コンテナの中と外は届かない
  3. 無人で回している claude -p のワーカーは、保留されると永久に届かない。承認ダイアログを出せないためです

3つ目の対策は、起動時に受信を明示することです。

{
  "crossSessionInbound": "accept"
}

止め方

受信と送信は別々に止められます。受信を止めるなら crossSessionInboundaccept / hold / refuse の3択)、送信と一覧を止めるなら権限の拒否ルールです。

{
  "permissions": {
    "deny": ["SendMessage", "ListAgents"]
  },
  "crossSessionInbound": "refuse"
}

拒否ルールを入れるとサブエージェントへの送信も一緒に消えます。同じツールを使っているためです。マシンをまたぐ送信に毎回承認を要求したいなら次の1行ですが、これはどのスコープからでも true が勝つので、あとから無効化できません

{
  "isolatePeerMachines": true
}

暴走の心配は要りません。同じ相手への連投は制限され、短時間の同じ内容は捨てられ、未読は50件で頭打ちになります。伝言のループは自然に止まる設計です。

CHAPTER 10

まとめ

派手な機能ではありません。セッションを1本しか立てない人には完全に無関係です。それでも、毎日3本ターミナルを開く人には、その日から効きます。

SOURCES

出典