公式 /voice の仕様を一次ドキュメントで確認したうえで、声だけで ToDoアプリとゲームを作らせる。安全設計と実際にかかった費用まで。
公式が出したのは「入力」だった。欲しかったのは「会話」だった。
2026年3月にリリースされた /voice。Pro・Max・Team・Enterprise は追加料金なしで、しかも文字起こしはトークンを消費せず /usage の上限にも入らない。
そして公式の呼び方が、この機能のすべてを説明している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 操作 | hold=スペースキーを押しっぱなし(既定)/tap=1回で開始・もう1回で送信 |
| 入力の入り方 | カーソル位置に文字起こしされる。タイプと混ぜて書ける |
| 料金 | Pro・Max・Team・Enterprise は追加料金なし。トークンも消費しない |
| 日本語 | 対応(全20言語)。language 設定を使う。空だと英語になる |
| 精度の工夫 | コーディング語彙にチューニング済み(regex OAuth JSON localhost)。プロジェクト名とgitブランチ名を認識ヒントに自動追加 |
| 自動送信 | autoSubmit: true で3語以上なら自動送信。日本語の自動送信は v2.1.195 以降 |
| キー変更 | ~/.claude/keybindings.json で voice:pushToTalk を再割当できる(meta+k ならウォームアップ無し) |
これは弱点ではなく、そういう設計。「入力を音声にする機能」としてはよくできている。
つまり、入力が音声になっただけで、開発は画面の前に座ったまま。欲しかったのは「画面から目を離しても仕事が前に進む状態」だった。
キモは雑談と作業を分けたこと。全部をコーディングエージェントに流すと、雑談でも数秒待たされる。だから会話係が前段にいる。
もうひとつ大事な点として、Anthropic の APIキーは要らない。ターミナルで claude が動く状態なら、その資格情報をそのまま使う。
この回で実際に話しかける内容。収録中はここをそのまま読む。
【実演① ToDoアプリ】
「ダウンロードフォルダに ToDoアプリを作って、開発して」
→ (無ければ)「作りますか?」と声で聞かれる
「はい」
→ フォルダが作られて、作業が始まる
「今どんな感じ?」
→ 進捗が声で返る
(ファイル作成の確認が来たら)「はい」
→ 進む
【実演② ゲーム】
「次は簡単なゲームを作りたい。ブラウザで動くやつ」
(編集の確認が続いたら)「編集は自動にして」
→ そのプロジェクトだけファイル編集の確認が消える
※コマンド実行の確認は残る
「確認ありに戻して」で元に戻せる
【安全設計の実演:わざと見送らせる】
・相槌だけ言う(「うんうん」)
・独り言レベルの短い発話
・こちらの読み上げをマイクに拾わせる
→ いずれも「見送りました」と画面に出る
【落ちたときの保険】
pnpm sim "ダウンロードにToDoアプリを作って"
→ 音声抜きで対話(Claude Code は実物)
→ 「声の層が落ちているだけで、下は動く」を見せて切り分ける
声で開発をさせる以上、聞き間違いでコマンドが走るのがいちばん怖い。だから作業を始める前に「人が実際にそう言ったか」を機械的に確かめている。
該当したら作業を始めず、そう画面に出す。「頼んだのに動かない」ときは、この見送りの表示が出ていないかを見る。
.env* id_rsa* *.pem credentials*)は中身を読む前に索引から外す| 設定 | 声で開ける範囲 |
|---|---|
near | 作業フォルダとその隣だけ(いちばん安全) |
home(既定) | ホーム配下。~/.ssh などの隠しフォルダは開けない |
anywhere | 制限なし |
今どの範囲かは、サーバの起動ログに毎回出る。
便利さと怖さは、同じ蛇口から出る。| 何に | 実測値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 会話係(標準モデル) | 1応答あたり $0.02 前後 | 30応答の平均 |
| 会話係(軽量モデル) | 単価が約3分の1 | 公式料金表($32/$64 → $10/$20 per 1M) |
| Claude Code 側・1回目 | $0.19 | Sonnet 5・7セッション24回の中央値 |
| Claude Code 側・2回目以降 | $0.07(幅 $0.02〜$0.38) | 同上 |
雑談や進捗確認だけなら会話係のぶんしかかからない。実作業を頼んだときに Claude Code の料金が乗る。
なお、単価を確かめていないモデルは費用を「—」と出すようにしてある。0として黙って足し込むと、画面の数字が嘘になるため。
※ すべて作者環境での実測値。請求額を保証するものではありません。
アクセシビリティ/オートメーション/画面収録。許可は「起動したアプリごと」に付くので、ターミナルから起動する場合と常駐させる場合で別に必要。「さっき許可したのに」はだいたいこれ。
ターミナルが Microphone 設定の一覧に出てこないときの復旧:
# 対象を必ず指定する(Terminal.app の場合)
tccutil reset Microphone com.apple.Terminal
# iTerm2 なら com.googlecode.iterm2
# 他のターミナルは osascript -e 'id of app "AppName"' で調べる
# → そのあと Cmd+Q で完全終了(ウィンドウを閉じるだけではダメ)
# → 再起動して /voice を実行すると、許可ダイアログが出る
tccutil reset Microphone を叩くと、Mac の全アプリのマイク許可が消える。Zoom や Slack も含めて。通話中は絶対に実行しない。
pnpm doctor と打っても何も出ないpnpm 内蔵のコマンドに取られる。pnpm run doctor が正解。
| やりたいこと | 使うもの |
|---|---|
| タイプが面倒・長い指示を口で入れたい | 公式 /voice(追加料金なし。まずこれで試すべき) |
| 画面の前にはいる。手だけ楽にしたい | 公式 /voice の tap モード(押しっぱなし不要) |
| 画面から離れたい・進捗を声で聞きたい・声で許可したい | 音声エージェント |
| SSH やブラウザ版の Claude Code で使いたい | ⚠ 公式 /voice は非対応 |
| APIキー直・Bedrock・Vertex で使っている | ⚠ 公式 /voice は非対応 |